はじめに
「年齢を理由に新しいことを諦めてはいけない」。そんな信念を胸に、58歳でノーコード開発の世界に飛び込み、新たな人生を切り開いている高尾範子さん。コロナ禍をきっかけに副業として始めたアプリ開発から、現在は電子書籍出版、SNSアプリの運営まで幅広く活動されています。
24年間の販売職を経て、60代でフリーランスとして新たなキャリアをスタートされた高尾さんの軌跡を追いながら、シニア起業の可能性と実践方法について伺いました。
起業ストーリー:コロナ禍が変えた人生の方向性
職歴と起業への道のり
「製造メーカーで事務職を4年、その後デパートでの販売職を24年間」と、長年にわたって販売のプロとして活躍してきた高尾さん。起業への転機は、まさに予想外の形でやってきました。
「コロナで店舗が休業になった時、テレビでダイヤモンド・プリンセス号の乗客がアプリで繋がって』いるという報道を見たんです。その時、『アプリを繋がった』という言葉が『アプリで作った』と聞えて、『アプリって作れるものなんだ!』という衝撃を受けました」
検索してたどり着いたのがProgateでした。そしてそこから、人生を変える出会いが始まります。
なぜ起業を選んだのか
「実は40代の頃から、主人の退職金を使って何かビジネスを始めたいと考えていたんです。コーヒーショップを開こうかと、UCCのスクールも調べていました。でも、それらと比べると、ノーコードのスクール代なんて安いものです」
10年間、様々なビジネスアイデアを検討していた高尾さん。やりたいことを書き出し、実現可能性を検証し、必要な勉強や費用を計算する。そんな地道な準備があったからこそ、コロナ禍での運命的な出会いを活かすことができたのです。
事業内容と価値提案
現在の3つの柱
1. Bubble開発(受託開発)
- 主要案件:犬用シャンプーTrue Iconic 「特定の団体でしか使われていなかった商品を、アプリ化することで多くの人に届けられるようになりました」
2. 新にゃおしす(猫好きSNSアプリ)
- 2025年7月1日リリース予定
- 「60代以上の方にはInstagramやFacebookは敷居が高い。誰でも気軽に使えるSNSから始めて、他のSNSにも慣れ親しんでもらいたい」
3. 電子書籍出版
- 「58歳でノーコードと出会い人生を謳歌しています」
- 氷河期世代の「長生きしたくない」という声を受け、「何歳になっても挑戦することを諦めないで欲しい」という願いを込めて
ターゲットとビジョン
主なターゲットは50代以上、特に年金受給者の方々。「年金だけでは生活できない時代に、新しいスキルを身につけて自分で稼げるようになってもらいたい」という思いが原動力です。
起業の現実:壁にぶつかり、それを乗り越える
最大の壁:IT用語
「プログラミングやノーコードの世界は、とにかくカタカナが多いんです。話についていけませんでした」
解決策:コミュニティの力
「分からない単語は、すべてノートに書いて覚えました。でも一番助かったのは、ノーコードキャンプのコミュニティの存在です。分からないことがあれば、誰にでも聞く。年齢なんて関係ありません」
失敗から学んだ教訓
「大規模な開発案件を受けてしまい、納期に間に合わないという経験をしました。その後は、仕事を受ける前に必ずクライアントとのコミュニケーションを密に取り、自分のスキルを正確に伝えるようにしています」
デジタル活用術:AIとノーコードの使いこなし
活用しているツール
ノーコード開発
- Bubble
- Glide
SNS・マーケティング
- X(旧Twitter):「投稿することで、自分ができることを周りに知ってもらい、仕事に繋げています」
AI活用
- ChatGPT:文章作成、画像生成、投稿スケジュール作成
- Bubble開発でのエラー対処
- 数字分析やキャンペーン効果の相談
学習方法のアドバイス
「今は学習時間が取れないので、すぐに使えるツールを優先して使っています。一緒に仕事をしている34歳のビジネスパートナーから、AIの使い方を手取り足取り教えてもらっているのも大きいですね」
今後の展望:夢と現実的な目標
3年後の目標
- にゃおしす登録者1000人達成
- 広告収入
- オリジナルグッズ販売
- コミュニティイベント
- 講演会事業
- リスキリングについて
- 50代以上向け
- ノーコードの周知活動
- 教育事業
- フリースクールでのノーコード指導
- 大人のリスキリング支援
最終的な社会貢献
「誰もが希望を持てるようになって、人を思いやれる世の中になって欲しい」
メッセージとネットワーキング
シニア起業家へのアドバイス
「今までの経歴を捨てて『分からないことは誰にでも聞く!』と自分に言い聞かせて、年齢の違う方に教わりましょう。迷っている暇はもったいないです。行動あるのみ!」
心がけている心構え
「大きな目標より、確実にできる目標を設定すること。そして、無理な計画をしないで休日をしっかり設けることです」
健康管理
- 毎日15分の筋トレ
- ピックルボール(月1回)
- 適切な休息とリフレッシュ
繋がりを求めて
協業パートナー募集
- デザイナー(オリジナルグッズ用)
- リスキリング支援機関との連携
- 同年代の起業家との情報交換
連絡先
- X: https://x.com/fa3487
- Instagram: https://www.instagram.com/noriko8293
- にゃおしすLP: https://nyao-sis.studio.site/
- Email: n.takao1963@gmail.com
おわりに
高尾さんの言葉には、年齢を重ねることで得られる知恵と、新しいことに挑戦する勇気が込められています。「人生に遅すぎるスタートはない」という彼女の姿勢は、多くのシニア世代に勇気と希望を与えてくれるでしょう。
デジタル技術の進歩により、シニア起業の可能性は格段に広がっています。高尾さんのように、経験を活かしながら新しい技術を取り入れることで、年齢を問わず社会に価値を提供し続けることができるのです。